探偵喫茶へようこそ


誰も何も言い返さなかった。


確かに怒りを覚えたはずなのに、消え去っていた。



それほど、この言葉は正しかったのだ。



「そういうわけで、僕はこの市にいるホームレス全員に話を聞いた」


「全員だと……? どうやって?」


「それは企業秘密」



滋は楽しそうに人差し指を口に当てた。



「まあいい。早く進めてくれ」



これ以上何か言っても無駄だと感じたらしく、正広は話すよう促した。



「はーい。じゃあまず……地図ある?」



滋がそう言ったと同時に、大画面に地図が出された。



警察の誰も操作していないのに、突然変わったのだ。



「これでいいか?」



すると、横に座っている海が確かめの言葉を発した。


海の前にはパソコンが置いてある。



「ありがとう、海」



どうやら、海が操作したらしい。



「で、結論だけ言うね」

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