探偵喫茶へようこそ


出入り口近くにいた刑事が、独り言のように呟いた。



「えっとえっと、穴から!」



莉桜は楽しそうに話す。



そして、莉桜だけが答えているのは、ほかの少女は緊張して話せないからだ。



「よく、逃げれたね?」



すると、雪兎が莉桜の前に屈んだ。



「犯人に見つからなかった?」


「ああ、見つからなかったさ」



雪兎の質問に答えたのは、雪兎が今一番聞きたい声だった。



「ちぃ、ちゃん……?」



雪兎は信じられないという表情を見せる。



そして、その少女たちの中から知由を探すも、姿が見つからない。



「心配かけたな、ウサギ」



すると、知由のほうから姿を見せた。



知由は自分より背の高い子の後ろにいたのだ。



「ちぃちゃん!」



雪兎は半泣き状態で知由に抱きついた。

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