探偵喫茶へようこそ
一弥は犯人に見つからないようなところに、停車した。
「中矢、お前はどうする?」
車を降りると、知由は車内で戸惑っているに聞いた。
「どうって……」
「お前、何しに来たのだ」
知由は呆れ顔で言った。
そして友奈は答えられなかった。
知由に文句を言う。
それが目的だった。
でも、文句はあとでと言われたせいで、目的が消えた。
ここで危険に飛び込む必要があるのか、わからなかった。
「……滋、中矢と残れるか?」
なかなか答えが返ってこなくてしびれを切らしたのか、知由は滋に尋ねた。
「どうして僕?」
「体力勝負となったとき、一弥は必要だ。海でもいいかと思ったが、こんな仏頂面の男といて安心になれるわけがない。そして最後に、ウサギがあたしが危険になるかもしれないという状況で、大人しく残っているとは思えなくてな。で、お前が適任だと考えた」
納得するには十分すぎるくらい丁寧な説明を聞いて、断ることは出来なかった。
「わかった。いってらっしゃい。気をつけてね」
滋は車に戻り、笑顔で見送った。