探偵喫茶へようこそ
「すげーな、お前。俺の部下にならねーか?」
すると、男が手を叩いていた。
知由以外が、状況が理解出来なかった。
「あたしの仲間を組に引き込もうとするのはやめろ……クソ親父」
知由の言葉に、全員耳を疑った。
「親父って言うなよ。俺、お前の親と思ったことねーし」
「安心しろ、あたしもお前を親と思ったことはない。ただコイツらにわかりやすく伝わると思ってな」
二人の間には、火花が散っている。
「三崎の父親が、三崎を誘拐の指示を……? どうして……」
一弥は整理しきれない頭で、それを口に出した。
「夢里(ゆめり)……コイツの母親を導き出す囮にな」
男は薄気味悪い笑みを浮かべている。
「導き出す、か……お前もくだらない嘘をつくのだな」
それに対して、嘲笑する知由。男の額に血管が浮かんでいる。
「……何?」
「殺すの間違いだろ」
もう、一弥たちの理解は追いつかなくなった。