探偵喫茶へようこそ
「ええ、そうよ」
人に物を頼む態度とは思えないくらい、夢里は上から言った。
「その依頼、断る」
きっぱりと言い切った。
「ちぃちゃん!?」
雪兎は澄ました顔で隣に座る知由を見た。
「元であれど、夫婦のいざこざだぞ? 無関係の人間が間に入るべき案件ではない」
「お前は無関係じゃないだろ」
海が突っ込むと、知由は厳しい顔をした。
「無関係だ。確かに産みの親はコイツらだろうが、あたしを育てたのはウサギの親だ。あたしの親は、その二人なのだ」
正論すぎて、誰も何も言えなかった。
「えっと……すみません、夢郷さん。ここの探偵はちぃちゃんなんです」
雪兎は申し訳なさそうに、夢里に言った。
夢里は唖然とする。
「知由が……? あの、悪いですけど、子供の探偵ごっこに付き合いに来たわけじゃないんです。私も忙しいですし」
「悪いな、あたしもくだらない夫婦喧嘩に付き合う暇はない」
知由が夢里を挑発……というより、夢里に言い返した。
その態度が気に入らなかった夢里は、知由を睨む。