探偵喫茶へようこそ
「それが親に対して言う言葉?」
知由は一瞬驚いたようだが、呆れたように鼻で笑った。
「親を名乗る気か? 高校生で子供産んで、施設に預けて」
「それは……」
夢里は目を泳がした。
「わかったのなら、早く帰れ。暇ではないのであろう?」
いつの間にか調子を戻したらしく、知由はいつものように人を馬鹿にしたような笑みを浮かべた。
「……失礼しました!」
夢里は乱暴に出ていった。
「あれ、嘘じゃないと思うけどなあ……」
雪兎は夢里に出したコップを下げ、呟いた。
「当たり前だ。理由は知らないが、父親があれを殺そうとしているのは間違いない」
知由は席を立ち、カウンター席に移動した。
「じゃあどうして……」
「これは警察に頼るべき案件だ」
ただただ、私怨で依頼を受けなかったわけではない、ということを全員今わかった。
「三崎の言う通りだ。これでもし、彼女が命を失えば? 助かったとしても、狙われた、ということで警察に知られるのは目に見える」