巨大ロボ!戦え! ガンスロン
コーティングは思ったより、早く終わった。

寝ずにぶっ通しで、作業を進め、3日後に、ガンスロンは秘密基地から、出た。


「ゆっくりではなかったのか?」

格納庫内で、潤一郎の言葉に、フッと源太郎は笑い、ガンスロンを見上げると、

「仕方あるまい。多くの人々が、殺されているのだから」

源太郎の言葉に、潤一郎もガンスロンを見た。


「ガンスロンは…守る為に、つくった。復讐の道具ではない……んだろ?」


潤一郎は苦笑し、

「…守れなかった後悔はある。だから……」

「だから?」

「また…後悔しない為だ」




「後悔か…」

源太郎の呟きに、潤一郎は前に出た。

「時代も変わった。世界もな」

潤一郎は振り返り、

「…あの頃、自分に子供ができて、孫がおるなど…想像できんかったわ。あの何もなくなった国が…こんなに発展すると思ったか?」

「いや……」

源太郎は、首を横に振った。

「皮肉なもんじゃろ?敗戦国の日本が、世界で一番の経済成長をした…。だから思うんじゃ…。もし、勝っていたら、どうなった?」

「わしは……勝っていたらか……。息子も、家族も失ったわしには……わからんよ」


「日本は失い過ぎた。あの頃に比べたら……すべてが素晴らしい。例え、ロシアの暴挙を、許せないとしてもな」

潤一郎は、ガンスロンに近づき、手を触れた。

「…この世界を、守りたい。孫達が、末長く…生きれる世界を…」


「だが…真由を乗せておるじゃないか」


潤一郎は、ガンスロンの表面を撫で、

「こいつに乗ってるなら、大丈夫じゃ……こいつの中には、ロンがいる。神を裏切っても、真由を守りたいと思った……ロンがな」


ガンスロンは、その潤一郎の思いにこたえるように、潤一郎の手の平に、少しのぬくもりを与えた。
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