夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
その光景に、ドクンッと心が激しく揺れる。
赤に近いフワッとした茶髪に、パッチリとした茶色い猫目の女性。
身体のラインが美しく見えるピタッとしたセクシーなワンピースを着こなして大人っぽいのに、男性に抱き付き見つめるその表情はとても可愛らしい。
目の前に突然現れたこの女性を、私は知っていた。
「お待たせして申し訳ありません。
打ち合わせが少々長引いてしまって……」
「いえ、お仕事お疲れ様です。ミネアさん」
”ミネアさん”……。
男性が、その名を呼んで私の記憶は確かなものに変わる。
ミネア。
間違いない。
以前ヴァロンが連れて行ってくれた温泉旅行で会った女性。
そして、ヴァロンが長期任務の際に”一夜を共にした”って恋人疑惑を掛けられた女性だった。
なぜ、彼女がここに?
……いや。
それよりも、私には気になる事があった。
”マオ様”……。
ミネアさんは、目の前の男性をそう呼んだ。