夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】

その名前は、ヴァロンが長期任務の際に使っていた名前で……。
それはつまり、目の前の男性の正体を確信するには充分だった。


ヴァロン。
目の前の男性は、やっぱりヴァロン。

そう悟ったと同時に、私の瞳からは静かに涙から溢れ頰をつたり落ちた。

生きていた。
生きていて、くれた。
”生きてほしい”という三年前の私の想いは、ヴァロンにちゃんと届いていたのだ。


「!……ママ?」

「ま〜ま、いたいいたいなの?」

胸がいっぱいになって込み上げる涙を堪え切れない私を、ヒナタとヒカルが心配そうに見ていた。
私につられて今にも泣き出しそうな子供達の表情に、なんとか止めようと拭うが涙は次々と溢れてくる。
想いと一緒に、止まらない。


「!……大丈夫ですか?
どこか具合いが悪いんですか?」

私の異変に気付いたヴァロンが、心配そうな視線を向けながら優しい声で尋ねてくれる。
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