夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】

「ありがとう、ございますっ……!」

正直、シャルマ様がヴァロンをどのように扱っているのかへの心配や不安があった。
けど、ミネアさんの事は信じられる。
そう思った私は、自然と彼女に頭を下げてお礼を言っていた。

ミネアさんは、そんな私を見て一瞬驚いた表情を浮かべたが……。
軽く咳払いをすると、相変わらずの落ち着いた口調で言う。


「別に貴女に御礼をいわれる事は何もしていないわ。わたくしは、全て自分と自分の大切なものに必死になっているだけよ。
……だってマオ様は、わたくしの婚約者だもの」

「……。え……っ?」

ミネアさんの言葉に、今度は私が驚いた表情で固まる。

”マオ様は、わたくしの婚約者だもの”。
聞き間違いであってほしいと疑う私の中で、何度も木霊する台詞。

婚約者?
ヴァロンとミネアさんが、婚約者?
静かな絶望に、言葉が出てこない。
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