夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】

私は知ってる。
ヴァロンがどんな風に愛してくれるかを……。

優しく大切に包み込んでくれるようなのに、時に熱く激しいその愛の伝え方を。
身も心も彼に夢中になって惹かれてしまう程の、愛の溢れたヴァロンのあの行為を……。

手で、唇で、身体で、愛し合う。


ヴァロンは私にしてくれたように、今ミネアさんを愛しているんだ。
甘く囁いて、優しく触れて、激しく求めて、愛し合ってるんだ。


っ……や、だッ。
そんなの、っ……やだよ……ッ。

目の奥から込み上げる熱いものが堪え切れず、ギュッと膝の上で握り締めていた拳にポタポタと落ちた。

信じたくない。
ヴァロンが自分以外の誰かと愛し合ってる事なんて想像もしたくないのに、次々と湧き上がる嫉妬の気持ちが止まらず私を掻き立てる。


「貴女に泣く権利なんてあるのかしら?
先に彼の手を放したのは、貴女でしょう?」

隣から聴こえた、ミネアさんの少し冷たい声。
その声と、顔を向けた私を真っ直ぐ見つめる彼女の眼差しに……。
今度は頭の中に三年前の事がよみがえる。
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