夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】

ヒナタとヒカル、私とヴァロンの可愛い子供。
もし私が約束を破れば、あの子達の未来もどうなるか分からない。

引き離されて、取り上げられて……。
シャルマ様に都合の良い道具のように扱われる可能性もある。
いや最悪。邪魔な存在だと判断されたら、きっと簡単に命を奪われてしまう。


この三年間、私を支えてくれた子供達。
ヴァロンと同じくらい大切な私の宝物。

ヴァロンも子供達も、どちらも天秤になんて掛けられないくらい私には大切な存在だ。


……でも。
どちらかを選ぶ道しかないのなら、今の私には選択肢は一つしかない。

そう思いながらも、心揺れていると……。


「まま〜!
あい、これあげゆ〜」

「も〜ヒカル!おくちのまわり、ふいて!」

私の好きなウサギの形をしたリンゴを持ったヒカルが駆けてきて、その後から追って来たヒナタが世話を焼く。

その可愛い微笑ましい姿を目の前にして、私は思わずベンチから降りて子供達を抱き締めた。
< 110 / 322 >

この作品をシェア

pagetop