夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】

その寂し気な横姿に本当に申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
が、何と声を掛けていいのか分からない。
弁解の言葉も、気の利いた言葉も、僕には上手く言えなかった。


「っ……」

情けなくて嫌になる。
シーンと静まり返る微妙な空気。

自分の至らなさが原因だと、ビクビクおどおどした態度がみんなを困らせて不快にさせると分かりながらも変われない。

だからみんな、僕の事なんて嫌いなんだ。
そう心の中で呟いた瞬間。


「……な〜んて!
嘘ですわよ、怒ってませんわ!」

弾むような優しい声と、目の前に広がる嬉しそうな笑顔。
ミネアさんは自分の鞄から伊達メガネを取り出すと、僕にそっとはめてくれた。


「!……これ、……」

「雑貨屋さんで見付けて買ってきたんですの。
安物ですけど、ないよりはマシでしょう?」

自分の顔に装着された伊達メガネに触れながら驚く僕に、微笑んだ彼女が子供をあやすように言う。


「独りにしてごめんなさい。
人の多い知らない街で、心細かったわよね?」

僕を見つめてくれる、優しい瞳。
出逢った時から変わらない笑顔に、安心する。

ミネアさんは、いつだって僕の傍にいてくれた。


……
…………。
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