夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
知らない場所、知らない人達。
世話を焼いてくれる先生や看護師さん達の存在にすら、申し訳なくて……。
そして、怖かった。
何も思い出せない。
リハビリでも大した経過を見せられない僕に向けられる、残念な視線。
呆れたような溜め息。
人と接するのが次第に怖くなって、自分から話す事も、目を合わせる事も出来なくなっていった。
リハビリを受ける度に頭に浮かぶ、”何でこんな事をしなきゃいけないんだろう?”という思い。
周りを見渡せば、他の患者さんには家族や友達がいて、励まされて、支えられていた。
その光景が映る度に、和気藹々とした雰囲気が胸を締め付ける。
一緒に頑張ってくれる人も、喜んでくれる人もいない孤独の中で、僕は誰の為に頑張ったらいいのか分からなかった。
自分の為に、と頑張ればいいのかも知れないけど……。
この時の僕は、そう思う事さえ出来ないくらいに追い込まれていた。
そんな時だった。
ミネアさんが、僕の病室にやってきたのは……。