夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
【病院/中庭】

入院生活も半年が過ぎ。
この日も、ミネアさんは変わらなかった。
いつものように僕の元を訪れて、散歩に誘ってくれて、楽しそうに微笑っていた。


「ミネアさんは、変わってますね」

「?……何がですの?」

「僕がもし貴女だったら、僕みたいな男には絶対に近付きません。
僕の傍になんて、楽しくないし。
ほら、誰も近寄りませんから……」

僕の車椅子を押してくれるミネアさんに、ずっと感じていた疑問を何気なく口にした。

別に深い意味も、もう同情だからどう、と言う気持ちもなくて……。むしろ、ボランティアにしてもすごいなって。
嫌な顔一つせず、僕みたいなつまらない男相手に楽しそうでいられる彼女を尊敬する気持ちがあったからだ。


だから、どんな返答が返ってくるか?なんて考えてなかったし、その答えに何も期待なんてしてなかった。

……でも。
この時のミネアさんの返答が、僕を変えてくれる。


「好きな人の傍にいるのに、何か理由が必要かしら?」

「!……え?」

迷った様子もない、素直な言葉。
彼女の質問返しに、思わず自分の口から呆けた声が漏れた。
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