夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
ミネアさんと恋人になってからは、色んな事が変わり始めた。
彼女の存在に支えられて、それまでの入院生活が嘘のように順調になって、リハビリにも成果が表れて経過も良好。
それから半年も経たない間に退院出来て、自宅療養しながら時々通院するだけでよくなった。
自宅は居心地が良いか、と問われたら今も返答に困るけれど……。仕事で忙しい祖父と弟はあまり家にいる事はなく、使用人達と暮らす日々。
それに、僕とミネアさんが恋仲になった事で祖父の態度は明らかに変わっていった。
容姿の件に関しては相変わらず厳しかったが、”彼女との交際が順調ならば”と……。それ以外は特に僕に冷たく当たる事も、厳しい扱いを受ける事もなくなって、表面上は以前よりも家族らしくなれた気がした。
そして。退院した一年後には、弟に習いながら少しずつ仕事を覚える事を始めた。
正直、全てを一からに近い僕には難しくて意味不明な事ばかりで……。
弟の優秀さを痛感させられる毎日に、何度もめげそうになった。
でも、何も出来ないままの自分を変えたい。
ミネアさんにとって、少しでも恥ずかしくない存在になりたかった。
〈回想終了〉