夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
〈回想〉
【ヴァロン18歳/港街の繁華街】

白金バッジの夢の配達人として忙しく世界中を飛び回る俺は、アジトである港街の隠れ家に滞在する事は滅多になくなっていた。
大体一つの仕事を終えたらマスターやシュウに報告して、次の仕事を引き受けてすぐに飛び出す。

そんな生活が続くうちに、同僚達とはすっかりすれ違い。
元々あまり絡む事もなかったが、挨拶すら交わす事も少なくなっていった。

……。

ある日。
繁華街のある店のショーウィンドウ越しに見慣れた姿を発見。前屈みになって、真剣にある品物を眺めていた。


「おい、ギル。何やってんだよ?」

「!!っ……わぁッ?!」

店の中に入り俺が背後から声を掛けると、ギルバートは期待を裏切らない大きなリアクションで驚き声を上げる。


「びっ、びっくりした〜。
……って!ヴァ、ヴァロン君?!ヴァロン君じゃないか!久し振りだな〜!」

驚いて胸に手を当てていたと思ったら声を掛けたのが俺だと気付き、ギルは嬉しそうに微笑んで肩をバンバン叩いてくる。
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