夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
全く、馬鹿が付く位お人好しなギル。
「……で、何見てたんだよ?」
俺はそう言葉を発しながら、ギルがさっきまで見ていたらしき物に視線を向ける。
そこにあったのは、小さな宝石箱。
綺麗な細工と装飾されていて、オルゴールにもなっているようだった。
「あ、サヤさん……。
ぼ、僕の奥さんがね!もうすぐ誕生日なんだ!」
俺の問い掛けに、ギルは顔を真っ赤にしながら答える。
幸せそうな笑顔。
そんなギルを見て、”また惚気か!”と思いつつも悪い気はしなかった。
俺は、きっとギルが羨ましかったんだと思う。
でも、そんな気持ちを悟られたくない俺はぶっきら棒な態度で接した。
「ふ〜ん、ならさっさと買えよ。それに決めてんだろ?」
何気ない一言。
好きな女にプレゼントを選んだ事も、買った事もない。
夢の配達人白金バッジの俺は、欲しい物は何でも買えた。