夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
【6月15日/港街のパン屋】
蒸し暑いような、少し寒いような、梅雨の季節。
今朝も天気は微妙で、いつ雨が降ってきてもおかしくない雰囲気だった。
そんな天候のせいか、今日はパート先のパン屋さんにはお客さんも少なくて、レジ番の私はついついボーッと考え事をしてしまう。
ヴァロンと再会して、ミネアさんから話を聞いた数日後……。
一部の新聞や雑誌には”大手企業の社長令嬢御婚約!”と、確かに書かれていた。
大体的に書かれているのはミネアさんの事で、彼女の会社に比べたらまだ小さい会社の人間だからか、ヴァロン……。
いや、”マオ”の名前はもちろん。詳しい事は何も語られていなかった。
けど、当の本人であるミネアさんから聞いてしまった私にはハッキリ分かっている事。
記事の情報が正しく、来年春頃に挙式なのならば……。徐々にミネアさんの相手が誰なのかも、世に知れ渡っていくのだろう。
そうなれば、もう二度と”私の夫”などと呼べない存在だ。
蒸し暑いような、少し寒いような、梅雨の季節。
今朝も天気は微妙で、いつ雨が降ってきてもおかしくない雰囲気だった。
そんな天候のせいか、今日はパート先のパン屋さんにはお客さんも少なくて、レジ番の私はついついボーッと考え事をしてしまう。
ヴァロンと再会して、ミネアさんから話を聞いた数日後……。
一部の新聞や雑誌には”大手企業の社長令嬢御婚約!”と、確かに書かれていた。
大体的に書かれているのはミネアさんの事で、彼女の会社に比べたらまだ小さい会社の人間だからか、ヴァロン……。
いや、”マオ”の名前はもちろん。詳しい事は何も語られていなかった。
けど、当の本人であるミネアさんから聞いてしまった私にはハッキリ分かっている事。
記事の情報が正しく、来年春頃に挙式なのならば……。徐々にミネアさんの相手が誰なのかも、世に知れ渡っていくのだろう。
そうなれば、もう二度と”私の夫”などと呼べない存在だ。