夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】

私と一緒にヴァロンの帰りを待つと言ってくれた、子供達。
ヒナタとヒカルにも、また嘘を貫き通す事になる。

”パパは別の女性と結婚する”、なんて……。
口が裂けても言えない。


父親の存在を話して以来、毎日のようにヴァロンのアルバムをめくって嬉しそうに眺めている子供達。

「あのね!ふたりで、パパかいたの〜!」

私がパート中に預けている保育所で、二人で描いたヴァロンの似顔絵をこの間見せてくれた。
今までに見た事がないくらいに、絵も、ヒナタとヒカルの笑顔も素敵で……。
私は涙を堪えるのが必死だった。


幸い、この間会ったマオの姿の彼がヴァロンだとは子供達は気付いてない。

髪も瞳の色も写真とは違うし、何よりも記憶を失ったヴァロンは、とても三十代後半とは思えない位に雰囲気が幼かった。
以前も充分に若く見えたが、ヒナタやヒカルが”お兄ちゃん”と言ったように……。おそらく二十代後半のミネアさんと同じ位にも見える程だ。
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