夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
思わず顔を向けてしまった私を見て、ヴァロンは「あれ?」と首を傾げる。
そして、思い出したように言った。
「貴女は、確か……。
あ、……アカリ、さん?」
「!……っ///」
”アカリ”……。
ヴァロンに名前を呼ばれたら、より一層早くなる私の心臓。
瞳が逸らせなくて、どんどん顔に熱が高まる。
「あ、の……覚えて、ませんか?
少し前に、ミネアさんとこの港街の広場で……」
動揺してしまいそうな私にそう言って、先に目を逸らしたのはヴァロン。
どうしようって思ってた感情が、少しだけ冷静になる。
良かった。
あのまま見つめられていたら、私は今にも自分の気持ちがバレてしまいそうで怖かった。
そして、彼が言った”ミネアさん”って言葉。
その名前とズキッと痛んだ胸のおかげで、私は逃げずにその場に止まると、レジに戻って姿勢を正した。