夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
「も、申し訳ございません。
仕事中ですので、そういった事はちょっと……」
心揺さぶられながらも、営業スマイルをしながら返事を返す。
私と話がしたい、なんて……。
なぜ彼がそんな事を言うのかは分からないが、受け入れる事なんて出来ない。
今は彼ととても冷静に話せる状態でもなければ、気分にもならない。
ここは黙って、早々に立ち去ってもらいたかった。
しかし、彼は私の気持ちも知らずに諦めてくれない。
「あ。もちろん、お仕事が終わるまで待ちます!
何時間でも……待ちますからっ」
「っ……無理です。
仕事が終わったら、すぐ子供のお迎えがあるのでッ……」
お願い、帰って……。
心の中でそう願いながら、彼に言った。
本当は、話したい。
私だって、こんな事を言いたくはない。
仕事なんて投げ出して……。
ううん、私と彼を縛る全てのものを振り払って傍に行きたい。