夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
【港街】
雨は、なかなか止みそうにない。
パン屋さんに駆け込んできた彼は、雨に濡れていた。
傘を持って、いなかったのだろうか?
さっきよりも強くなっている雨。
あんな小さなハンカチでは、もう拭いきれないはずだ。
風邪をひいたり、しないだろうか?
……。
何も考えたくない。
もう、気にしたくなんてないのに……考えてしまう。
ゆっくりと帰路を進む私の頭の中には、ヴァロンの事ばかりが浮かぶ。
きっとまだ、この街の何処かに居るであろう彼。
「っ……あの人は、もうヴァロンじゃないの」
小さく呟いて、言葉にして自分に言いきかせた。
ヴァロンはあんなにオドオドした人じゃない。
飲み物はほとんどお水しか飲まなくて、ホットミルクなんてお店で注文する人じゃなかった。
それから……。
それからっ……。
必死に”マオ”の存在を否定しようと、以前の彼とは違うところを思い浮かべた。
雨は、なかなか止みそうにない。
パン屋さんに駆け込んできた彼は、雨に濡れていた。
傘を持って、いなかったのだろうか?
さっきよりも強くなっている雨。
あんな小さなハンカチでは、もう拭いきれないはずだ。
風邪をひいたり、しないだろうか?
……。
何も考えたくない。
もう、気にしたくなんてないのに……考えてしまう。
ゆっくりと帰路を進む私の頭の中には、ヴァロンの事ばかりが浮かぶ。
きっとまだ、この街の何処かに居るであろう彼。
「っ……あの人は、もうヴァロンじゃないの」
小さく呟いて、言葉にして自分に言いきかせた。
ヴァロンはあんなにオドオドした人じゃない。
飲み物はほとんどお水しか飲まなくて、ホットミルクなんてお店で注文する人じゃなかった。
それから……。
それからっ……。
必死に”マオ”の存在を否定しようと、以前の彼とは違うところを思い浮かべた。