夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
自分の愚かさと未熟さを痛感してダンボールの前で俯き屈んでいる僕に、ミルクを飲み終えた子猫が「みぃ〜」と鳴いた。
綺麗な、緑に近い黄色の瞳に見つめられてドキッとする。
僕にはない強さを持った瞳に見惚れていると、子猫は見上げたまま小さな身体をブルッと震わせた。
販売者から渡された際のダンボールには毛布も何も敷かれておらず、親兄弟から離された子猫には暖をとるものが何一つなかったのだ。
「寒いよな?……あ、そうだ!
……。ほら、おいで」
僕はスーツの上着を脱ぐと、抱き上げた子猫をそれでそっと包み込んで抱き締めた。
「少しは、あったかいかな?」
不安そうに尋ねる僕に、子猫は返事をするように「みぃ〜」と可愛らしい声で鳴く。
それがなんだかすごく嬉しくて、目の奥から熱いものが込み上げそうになった。