夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
それは、長期任務の際に”マオ”として仕事を熟していた彼を私が褒めた時の事。
何でもやってのけるヴァロン君に、正直私は不安を抱えていた。
あんなにすごい才能を持つ彼に、アカリはちゃんと相応しい妻なのか……。
物足りない、と思っている事はないのか?……と。
すると、ヴァロン君はこう言った。
「それは、私の台詞ですよ。
今回の任務の事だって、いつだって……。アカリさんに嫌われないか不安なのは、私の方です。
いつか、彼女の魅力に気付いた誰かに奪われたりしないか必死で、必死で……。
私の方が、絶対にアカリさんに夢中です」
そう答えた後、聞いてもいないのにひたすらアカリの事ばかり話し始めた。
アカリとの想い出や、好きな手料理の話。
後から思えば、酔っていて歯止めが利かず話していたのだろうな。
だが、その表情からは優しさと幸せが満ち溢れ、聞いているこちらが思わず笑ってしまう程で……。
彼にはアカリしか見えていないのだと、私は心から安心した。