夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
なんだか、気不味い。
まだハッキリとプロポーズの返事をしていない私にとって、今ユウさんと二人きりの空間は正直居心地が悪かった。
優しくて、良い人だと分かっているから尚更。
私が戸惑っているのを察してか、ユウさんはプロポーズの返事を決して急かしたりしない。
5月には、新しい勤務地へ行く彼。
もうあまり時間もない筈なのに……。
「なぁ、アカリ。
次の休みさ、ヒナちゃんとヒカル君連れてまた遊びに行こうぜ」
「……え?」
ユウさんはそう言いながら、振り返った私にチケットを見せるように差し出した。
それは、私の子供達が大好きなキャラクターが登場する着ぐるみショーのチケット。
「知り合いに貰ったんだ。
……な?これで最後だから、さ」
「!っ……ユウさん」
”これで最後”、その言葉と彼のどこか寂し気な笑顔が……。胸に突き刺さる。