夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
5つ年上の彼は、お世辞にもしっかりしているとは言えなくて……。むしろ、年下の私が世話を焼く側。
でも、口うるさい私に「はいはい、ローザはしっかり者だな」、そう言って優しい笑顔で、大きな手で頭をくしゃくしゃと撫でてくれる。
そんな彼が、大好きだった。
ずっとずっと変わらないと思っていた。
彼と結婚して、一生彼の傍で「もうっ」と言いながら生きていくのだと思っていた。
そう、あの日まではーー。
結婚式まであと一ヶ月。
彼は仕事先で災害に巻き込まれ、もう二度と、私の元へ帰ってくる事はなかったのだ。
信じられなくて、受け入れる事が出来なかった私。
けれど、本当に信じられなかったのは……。
「いや〜結婚前で良かった良かった。
清いままの今なら、またすぐに嫁ぎ先が見付かると言うものだ」
両親や親族の、心ない言葉。