夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】

「……っ。
アカリ、あのさ……」

俯く私にユウさんがそう言い掛けた時。
更衣室から調理場に繋がる通路の方から、出勤してきた従業員達の話し声が聞こえてきた。


「あ、いや……なんでもない。
じゃ、明後日な?約束だぞ」

ユウさんはハッとしてチケットを自分の胸ポケットにしまうと、私にそう言って従業員達が調理場にくるのと入れ違いに奥の事務所に消えて行った。


「アカリさん、おはようございます!」

「あ、おはようございます!」

「おはよーございまーす!」

…………。

お店の開店時間が近付くにつれて、従業員が増えて賑やかになる職場。
それに合わせて明るく振る舞いながらも、私の心は焦りと戸惑いでいっぱいだった。


ユウさんが見せてくれたチケット。
あの着ぐるみショーは今とても人気で、子供達にせがまれたけど私が入手出来なかった物。
簡単に、タダで誰かに貰える訳がない。

きっと、一生懸命……手に入れてくれたんだ。


真剣で、優しい気持ち。
その気持ちに、私はどう応えたらいいのだろうか……?

……
…………。
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