夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
【6月15日/自宅】
「……どうぞ」
鍵を解除して玄関の扉を開けると、私は子猫の入ったダンボール箱を抱えた彼に、家の中に入るようにすすめた。
……。
何故、こんな展開になったのかと言うと……。
傘を差し伸べた私を呆然と見ていた彼は、「何をしてるんですか?」と尋ねると、ハッと我に返って気まずそうに自分の背後にダンボール箱を隠そうとした。
その行動が、ついさっき冷たくされた私に対してなのか、自分が子猫を捨てているかのようなこの状況になのかは分からない。
……いや、多分両方だろう。
そんな彼はヒナタやヒカルが何か隠し事を暴かれた時の様子と、すごく被って見えた。
まるで子供みたい。
きっとこの人は……。
”ヴァロン”という一人の人間がいなくなって、その魂が”マオ”という人物に生まれ変わってしまったんだ。
目の前の彼を見て、私はそう思った。
「……どうぞ」
鍵を解除して玄関の扉を開けると、私は子猫の入ったダンボール箱を抱えた彼に、家の中に入るようにすすめた。
……。
何故、こんな展開になったのかと言うと……。
傘を差し伸べた私を呆然と見ていた彼は、「何をしてるんですか?」と尋ねると、ハッと我に返って気まずそうに自分の背後にダンボール箱を隠そうとした。
その行動が、ついさっき冷たくされた私に対してなのか、自分が子猫を捨てているかのようなこの状況になのかは分からない。
……いや、多分両方だろう。
そんな彼はヒナタやヒカルが何か隠し事を暴かれた時の様子と、すごく被って見えた。
まるで子供みたい。
きっとこの人は……。
”ヴァロン”という一人の人間がいなくなって、その魂が”マオ”という人物に生まれ変わってしまったんだ。
目の前の彼を見て、私はそう思った。