夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
そして子猫も猫リディアの存在に安心したのか、リラックスした様にそれを受け入れている。
そんな様子を見て安心していると、「よかった」って小さく呟く声が聞こえた。
その声に視線を向けると、とても優しい瞳で猫リディアと子猫を見つめている彼。
私の、大好きな彼。
相変わらず、スラッとした長身。
雨に濡れたワイシャツが素肌にくっ付いて、以前より筋肉が落ちて線が細くなった感じが見える。
入院生活や今の仕事のせいかな?
瞳の色はカラーアイレンズだと思うけど、黒に近い灰色の髪はウィッグじゃなくて染めてるんだと……。
夢の配達人時代に、プライベートで一緒に出掛ける時の彼の変装を思い出して分かる。
彼が猫リディア達に釘付けなのをいい事に、私は久し振りに……。ようやくじっくりと彼を見つめる事が、出来た気がした。
そして、ある部分に目が止まる。
いくら雨だと言っても、今はそこまで寒くない季節。
それなのに、彼の手にはめられた手袋。