夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
その黒い皮の手袋は薄手に作られており、手にピッタリと馴染む感じで実用的。
普段から着用している様子で、そういえばこの前広場で会った時も付けていた。
新しい、お洒落……かな?
一瞬そう思ったが、私の中で違和感が消えない。
「っ……あの、……」
「ハッ、クシュンッ……!
っ……あ、すみません」
私の言葉を遮る様にクシャミをしてしまい、彼は少し恥ずかしそうに俯いた。
その姿が何だか可愛くて、私は思わず顔をほころばせてしまう。
本当に、ズルい。
私ばっかりこんなに好きなんて……。
心の中で文句を言って、私は彼が持っているダンボール箱を取り上げると靴を脱いで玄関を上がった。
「上がって下さい。
そのままじゃ風邪引いてしまうでしょう?今、タオルと着替えを用意しますから」
それくらいは、いいよね?
と、思いながらそう言うと、彼は私を見て激しく首を横に降る。