夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
「そこまでご迷惑はかけられません!
いくらミネアさんのお友達でも、それはっ……」
”ミネアさん”。
そう言った彼に、何だか私はムッとした。
いつの間にか、寂しいとか悲しいとか辛いとか……。そう言うのが薄れてきて、気持ちが変わっていたのだ。
ただ、今は彼と居られるこの瞬間を大切にしたくて……。
少しでも長く一緒に居られる様、必死だったんだと思う。
”召し使いのバロン”である彼を、あの時引き止めたように。
「僕はもう失礼しますから。
あの、子猫を……よろしくお願いしま」
「ダメです!」
「!っ……え?」
「子猫を預かってほしいなら、私の言う事を聞いて下さい」
私はダンボール箱を床に置いて彼の腕を掴むと、強引に玄関から上げて廊下を歩き出す。
その行動に呆気にとられた彼は、私が引っ張った勢いで脱げた靴を見るように振り返りながら「あ、あのっ」と戸惑っている様子だ。