夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
僕が口を開けば、その言葉はいつも鋭い刃のように形を変えて返ってきた。
だから相手の反応が怖くて、ビクビクおどおどしてしまう。
本当は必要以上に会話も、人と関わる事もしたくもなかった。
相手には、届かない気持ち。
伝わらない気持ちを口にするのは、痛い。
ずっとずっと、そう思ってきた。
だから会話は常に「はい」とか「いいえ」とか、相手の質疑に答える事を中心にしてきた。
僕の言葉で誰かを喜ばせたり笑顔に出来るなんて、思ってなかったんだ。
それなのにーー。
「っ……本当ですかっ?よかったぁ!」
僕の耳に届いた、明るく弾んだ声。
驚いて顔を上げると目の前に広がっていたのは、とても嬉しそうに微笑むアカリさんの笑顔だった。
見た瞬間、初めて感じる衝撃的とも言える感覚。
それはまさに心臓を鷲掴みにされたみたいで、呼吸が止まってしまいそうな位に大きな鼓動が、鐘が鳴っているかのように僕に響く。