夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】

仲の良い可愛い光景に、気持ちが和む。
ついさっきまで独りきりで寂しそうだった子猫が生き生きしている姿を見て、僕は思わず言った。


「……幸せそう」

「え?」

「あの子猫、すごく幸せそうです。
面倒見のいい先輩に、貴女のように優しい人が預かってくれて……」

ここに居れば、子猫は暖かい彼女の家族に囲まれて間違いなく幸せに暮らせるだろう。
そんな未来があの子猫の中に見えて、”いいなぁ……”って、本音が口から出かかった。

するとその瞬間に、いつの間にか正面の席に戻ってきていたアカリさんが僕に問い掛ける。


「貴方は?」

「……え?」

「貴方は、幸せですか?」

「……」

その質問に、僕は彼女を見た。
テーブルを挟んで正面に居るアカリさんは、また”あの瞳”で見つめている。

今にも泣き出しそうな、潤んだ切ない瞳。
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