夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
ーー駄目だ。
今日の自分は、何だかおかしい。
僕は目を伏せて、必死に涙を止めようとした。
彼女と瞳を合わせていたら駄目だ。
アカリさんと居ると、何故だか調子が狂わされていくように感じる。
これ以上、暴かないでほしかった。
……けど。
心を乱すのも、逃げ出そうとする僕をなだめるのも、また彼女だった。
俯いたままの僕に歩み寄ってきたアカリさんは、包み込むように抱き締めてくれて、小さな声で「大丈夫だよ」って言った。
その行動と言葉に、胸がトクンッと暖かい鼓動を立てる。
”本当の僕を見ないで!”
”嫌いにならないで!”……。
そう心の中で叫び続けて怯えていた僕を、彼女が見抜いているように感じた。
「っ……は、放して……下さいッ」
「なんでですか?」
「な、っ……なんで、って……」
「理由がないなら、嫌です」
「っ……」
僕の言葉を拒否して、抱き締めたまま頭を優しく撫でてくれるアカリさん。