夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】

「……じゃあ、3分だけ。
3分だけ……休ませて下さい」

その言葉通り、彼はキッチリ3分経つと私から離れて、「いただきます」って言って食事を再開すると……。
完食して、お礼を言って、帰って行った。

……。

ズルい。
本当に、ズルいよ。

昔から変わらない。
時間に正確で、どんな体内時計してるの?って驚かされる位に時間ピッタリでさ。

そこはもう少し、融通利かせてくれてもいいんじゃない?
私からしたら待ちに待った、3年ぶりの抱擁だったんだよ?


あんなんじゃ、足りない。
全然、足りないよ。

もっと触れ合っていたかった。
このまま時が止まってほしいと思った。


3分だけ休ませて、なんて殺し文句だよ。
無自覚に甘えて、惹きつけないでよ。

全部忘れちゃったクセに、全然変わってない。

貴方は、私の大好きな人のままだよ。
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