夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】

「ママ〜!みてみて〜!」

「きれいなの〜!」

子供達の声にハッとして、二人が指差す空を見上げる。

するとそこには……。
七色に輝く虹が、私達を見下ろしていた。


「……リディア、さん」

空に架かる美しい光を瞳に映しながらその名を呟くと、私の中に蘇る想い出。

いや。
リディアさんが私に託した、想い。


彼女は、ヴァロンの傍に居たくても居られなかった。
”死”という自分ではどうしようも出来ない理由で別れ、彼を諦めたのだ。


”自分で出来ない事を、アカリちゃんに託しちゃってごめんなさい。
どうか、よろしくお願いします。”


リディアさんの願いを思い出して、自分は何をしているのだろう。と、目が醒める。

私も、ヴァロンも、まだ生きている。
この世界で、同じ空の下で、生きているのだ。
ほんの少し手を伸ばせば、手の届くところに彼はいる。
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