夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
【6月下旬/高級ホテルの一室】

「これからお客様がみえるの。
貴方にも縁《ゆかり》のある方だから会っていったらどうかしら?」

10分ほど前にミネア嬢にそう言われ、この場に留まってしまった事を心から後悔した。

仕事の打ち合わせで彼女の元を訪れた筈なのに、これは何という光景だろう。


ミネア嬢がお気に入りの、上品で広いホテルの一室。
私が座る横長のソファーの横には、少し距離を空けてミネア嬢。

そして。
テーブルを挟んで正面のソファーに腰を掛けているのは、アカリ様だった。


シンッとする空間。
少し前に使用人が淹れてきた紅茶は、全くの手付かずで冷めていくこの状況。

気まず過ぎて溜め息すら吐けない。
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