夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
アルバート様の孫娘。
その身分以外、正直何も持っていない小娘だと思っていた。
そんなアカリ様が、自分よりも美貌も教養も権力も……。
側から見れば全てに勝るミネア嬢に立ち向かっている。
「もう、嘘はつかない。
仕方ないって、諦めたりしない。
……勿論、子供達の事も手放したりしない。
私は、全力で自分の力で足掻いてみせます!」
こんな決意を見せられて、震え上らない人間なんていないだろう。
しかも、人の上に立つ者ならばそれは尚更の志。
ふと横目で見ると、いつの間にかアカリ様を見つめるミネア嬢の表情が変わっていた。
ーー相手を”対等の敵”と認めた人物と、出逢った時の瞳に。
「……面白いわね、アカリさん。
いいわ、貴女にチャンスをあげる」
組んでいた脚を組み替えて、ミネア嬢は微笑った。
まだまだ余裕の笑み。
それもそうだろう。
アカリ様が決意を表したところで、現婚約者の彼女の立場は変わらない。