夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
それにミネア嬢が本気になれば、アカリ様など簡単に排除する事も出来るのだから……。
アカリ様が本気で立ち向かうのならば、それには”ヴァロンの力”が必要になる。
兄の記憶が戻りさえすれば、形勢は一気に傾く事になるだろう。
……しかし。
その手を使う事は、アカリ様にとって”負け”になる。
「マオ様に話せばいいわ」
「!……え?」
「彼の過去を、話せばいいって言ってるのよ。
話したところで、わたくしとマオ様の関係は決して崩れないもの」
自信に満ちた口調と立ち振る舞いで、ミネア嬢が言った。
普通の人間ならば、喜んで飛び付くチャンス。
それをあえて許可する事で、ミネア嬢はアカリ様を試していた。
彼女が普通の人間なのか。
それとも、本当に”自分と争える相手”なのかをーー。