夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
「……そんな表情されたら、……。
慰めていいのかな、って……。僕でいいのかな、って……勘違いするぞ?」
冗談っぽく笑いながら頭をかくその姿に、嫌な気持ちは湧かない。
ユウさんを愛しているか?と問われたら、正直分からない。
……けど。
弱い私は、ズルくて、逃げようとしていた。
「……帰るわ。
また、明日職場でな」
そう言って、横を通り過ぎて玄関に足を進めるユウさんを……。
私は追い掛けて、止めた。
「!っ……アカリ?」
背中のシャツを両手で握り締める私に、ユウさんはゆっくり振り返ってくれる。
……大丈夫。
きっと、好きになれる。
ユウさんの瞳を見つめ返しながら、私はそう心の中で呟いた。
そして……。
「……行きます」
「え?……」
「ユウさんと……。一緒に、行きます。
っ……よろしくお願い、します」
ヴァロンとの想い出がたくさん詰まった、静かな家の廊下。
私は、ユウさんにプロポーズの返事をした。
……
…………。