夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
今にして思い返してみると、私が夢の配達人に憧れたのはリディアに出逢ったからかも知れない。
私が物心付いた頃には、父はすでに夢の配達人を設立し、現場で働く何でも屋ではなく指導者《マスター》の立場。
活躍を耳にしたり、新聞や雑誌で過去の武勇伝は知っていたが、いわゆる現役時代の何でも屋としての顔は見た事はなかったから……。
彼女との出逢いは、リディアが15歳、私が3歳の頃。
ある日、父から「今日からお前にとってお姉ちゃんのような存在だよ」と紹介された。
当時、私の家と言えば夢の配達人の隠れ家。
その頃はまだ男性の職場であり、産まれたと同時に母を亡くしていた私にとって、リディアは初めて身近に感じる女性。
”女性とは、こんなに美しくて、良い香りがするものなのか?!”
衝撃的だった。
私はあっという間に、彼女の虜になった。