夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
【シュウ38歳/夢の配達人隠れ家】

自室で仕事机に向かいながら、私は二通の封筒を手に持って見つめていた。
間近に近付けて、残された僅かな視力で瞳に映るその封筒には「辞表」と書かれている。

レナとレイ。
調査員として働いていた二人が、数日前に提出したものだ。


昔ヴァロンが救った、幼い双子の命。
その命が成長して、今度はヴァロンを救い出そうとしている。

聞いたところアカリさんと再会し、彼女から「力を貸してほしい」と頼まれたとの事。
調査員を続けながらでは、夢の配達人に迷惑がかかってしまうかも……と、レナとレイは辞表を提出。

私は、二つ返事で了承した。


「すごいですね。君は、本当に……」

傍に居なくとも、彼がみんなを忘れてしまっても、ヴァロンの存在を誰も忘れてなんていない。

君にはいつだって、みんなを動かす力があるんだ。
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