夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
『シュウが次のマスターなら、夢の配達人は安泰ね!
いいなぁ〜”マスター”って、呼びたいな。
……なんて!もうその頃には、私は引退してるか!』
ヴァロンが反抗して家を飛び出す少し前、リディアはそう言った。
年齢が私達よりひとまわり上だった彼女の台詞だから、あの時たいして気には止めなかったけど……。
後から思えば、あれは”引退”=”その時、私はもうここにいない”というメッセージだったんだ。
「……。
私だって、呼んでほしかったですよ。リディアにも、ヴァロンにも……。呼んで下さいよ」
ポツリと私の口から漏れた想い。
何年経ってもあの時と変わらず、ここで三人で会えると思ってた。
私がマスターになり、ヴァロンが白金バッジになり、そしてリディアが引退していても……。
リディアの死から、少しずつ欠けていった私達三人の絆。
それでも、何とか保ってきたのその絆は……。
三年前のヴァロンとの別れから、完全に私の中で崩れてしまったのだ。