夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】

そしてそれは、きっとヴァロンを取り戻す際に役立つはずだ。


「君には明日から、ある配達人に付いてもらいます。
ただし。その者には一切、付いて回っている事を悟られてはいけません。
行動、状況、どんな些細な事でもいい。定期的に私に報告をしてほしいのです」

「それは、尾行、という事ですか?」

「そうです。
その相手とは、凄腕の金バッジの配達人。
……出来ますか?」

「!……あ」

尾行という任務に、おそらくユイは一瞬複雑な気持ちを抱いたであろう。

けれど、彼女はすぐに悟った。
”凄腕の金バッジの配達人”が誰なのか。
そして、私が張れと命じた理由を……。


「はいっ!やります!
いえ、私にやらせて下さい!」

生き生きとしたユイの声を聞いて、私の覚悟も決まった。
地面から腰を上げると、自室を目指して歩き出す。
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