夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
「っ……アカリ、さん」
彼女を見たら、また一層暑く感じる。
それに、鼓動もトクンッと跳ね上がった。
僕の事をじっと見つめる漆黒の瞳が綺麗で、固まったように目を逸らせないし、言葉も出て来ない。
以前も感じた。
傍に行きたいのに、行けない。
一緒に居たいのに、逃げ出したくなる矛盾の感情。
これは、なにーー?
その場から動けないでいると、アカリさんは自らが僕に歩み寄り、傍に来てくれた。
「お久し振りです。
どうしてここに?……あ、お仕事ですか?」
スーツ姿の僕を見て、彼女が首を傾げながら言った。
その可愛らしい仕草に釘付けになりそうになりながらも、僕はハッとして手に持っていた紙袋を差し出した。
「あ、あっ……あのっ!
先日は、そのっ……ありがとうございました!
これ、お礼と!それにお土産っ……渡したくて!」
本来の目的を思い出したが、すっかりテンパって言葉を詰まらせる。