夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
何度もちゃんとお礼を言えるよう練習したのに、全くの無駄だった。
恥ずかしすぎて、絶対に真っ赤になっている顔を僕は頭を下げるフリをして俯かせていた。
受け取ってもらったら、さっさと帰ろう。
これ以上また情けない姿を見せたくなくて、差し出していた紙袋を彼女が受け取った感覚を感じたら、すぐ去るつもりだった。
でも。
そうはさせてくれないのがアカリさん。
「!……え?
じゃあ、私に会いに……わざわざ、来てくれたんですか?」
「はっ、はい!」
「……」
……。
……。
ーーあれ?
なかなか、受け取ってもらえない。
どうしたのかな?と顔を上げて彼女の様子を確認した。
その、瞬間。
っーーー!!!
アカリさんを見た、瞬間。
まるで、今自分が世界で1番幸せな気がした。
僕を見て、少女のように嬉しそうに微笑む彼女の姿が輝いて映る。
本当に、月の国のお姫様が天から舞い降りて来たみたいだ。