夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
「ありがとうございますっ!
すごく、すごく嬉しいですっ!」
声を弾ませて、紙袋を持つ僕の手を両手で包むように握り締めるアカリさん。
ーーああ、なんでだろ?
涙が、出そうになる……。
握られた手から伝わる温もりが、全身に行き渡っていくように。
見上げる瞳と重なって、感情が心まで沁み渡って、溢れ出すみたいだ。
この手を……。
いや、僕は確かに思った。
彼女を、離したくないってーー。
「ママ〜!なにもらったの〜?」
「!!……ぁ」
婚約者がいながら、別の女性にやましい感情を抱いた僕を打ち消したのは……。小さな少女の声。
無邪気な声に視線を移すと、僕とアカリさんが持つ紙袋を必死にピョンピョン跳ねながら覗き込もうとする彼女の娘さん。
娘さんの言葉に我に返って、バッと包まれていた手を引っ込めると、紙袋が地面に落ちて中から猫のおもちゃが飛び出した。