夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】

「あっ!す、すみません!」

「い、いえ!こちらこそっ」

慌てて拾おうとしたが、先に落ちたおもちゃと紙袋を拾ってくれたのはアカリさん。
その時、太陽の陽を浴びて光った彼女の左手薬指の指輪が……。僕を冷静にしてくれる。

愛おしい人との、夫婦の証。
肌身離さず着けているその品から、分かる。
アカリさんが、どれだけ旦那さんを愛しているか。


それに、可愛い二人の子供達ーー。


「あ、ご紹介が遅れました。
娘のヒナタと、息子のヒカルです」

「こんにちはー」

紹介してくれたアカリさんに続いて、娘のヒナタちゃんは屈託無く僕に挨拶をしてくれた。
彼女にそっくりで、素直に可愛いと思った。


「ヒナタちゃん、こんにちは。
……えと、ヒカル君?こんにちは」

「……こんちゃ」

少し屈んで目線を合わせてみたが、ヒカル君は人見知りのようですぐにアカリさんの足元に隠れてしまう。
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