夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
もし、また大切な人にそんな事言われたら……。
「っ……」
おかしいな。
外はこんなにも暑いのに、身体が……。
心から凍り付いていくように感じて、小刻みに震えてくる。
人に自分がどう思われているのか、知るのが……。
嫌われるのが、怖いーー。
だから、人との接触を避けてきた。
特別な感情を抱かないように、期待しないようにしてきた。
それなのに……。
さっき僕は、何を考えた?
少しだけ、アカリさんに自ら歩み寄ろうとしていた自分に怖くなる。
「っ……で、では。
そのっ……僕、っ……帰ります」
「!……え?マオさん?」
アカリさんの、驚いたような声が聞こえた。
でも、もう湧き上がった恐怖で顔が見れないし、まともに話せる自信もない。
逃げ出すように背を向けるとーー。
「おにいちゃん、かえっちゃうの?」
「!ッ……」
僕の手を、小さな手が握って止めた。
「おしごとなのー?
おしごとにいっちゃうのー?」
繋いだ手を少し揺らしながら、ヒナタちゃんが僕に尋ねてくる。